家族信託とはどんな仕組み?認知症や相続対策に有効!トラブル例も紹介

「親の老後を守りたい」と、子が家族信託の利用を親に勧めるケースが増えています。

家族信託とは、親が元気なうちに自分の財産(貯金や不動産など)を信頼できる家族に預け、自分の目的に沿った管理・運用・売却を行えるように契約することです。

今回は、家族信託のメリットや仕組みのほか、トラブル事例などを紹介します。

家族信託のメリット&仕組みとは?

家族信託を利用するメリットは…

  • 親が認知症になっても安心(認知症になってしまうと、子が財産を勝手に動かすことができないため)
  • 振り込め詐欺の被害防止(子に現金を預けてあるので親が自分で振り込めない)
  • 相続が発生しても財産管理がスムーズ(亡くなっても資産が凍結されることはなく、信託契約に沿って管理される)
  • 二次相続の対策も可能(長男に管理を任せ、もし長男が亡くなったら次男に管理を任せるという承継指定もOK)

家族信託の運用の一例

この仕組みを利用し、例えば、認知症になった父親が施設に入ることになり、信託契約に従って長男が父親の貯金から施設利用料を支払っていくという運用ができます。

あるいは、父親が所有する賃貸アパートを長女が管理・運用し、もし父親が亡くなったら家賃収入を母親の生活費に充てるという契約にもできます。

生前贈与ですと贈与税の対象になりますが、家族信託は「預けている」ので、贈与税はかかりません。

また、法定相続人が多いような場合、遺産分割協議が長引くことを見越して、生前に一部の財産を子に信託しておくという手段にも使えます。

以上のように、家族信託は使い勝手の良い制度だとわかります。

ちなみに、財産を託す人を「委託者(いたくしゃ)」、託される人を「受託者(じゅたくしゃ)」、その財産から得られる経済的利益を受ける人を「受益者(じゅえきしゃ)」と呼びます。

委託者=受益者でもいいですし、別の人でもいいのです。

家族信託の費用は?

家族信託は、信託業務に詳しい司法書士などに契約書(公正証書)の作成を依頼します。

費用は財産の種類・評価額によって異なりますが、おおむね30万円~70万円。信託専用の銀行口座をつくって現金を動かしたり、不動産の登記名義を子に移したりします。

結構な費用がかかりますが、受益者の安心・安全な生活を支えるための費用と考えればいかがでしょうか。

家族信託のトラブル例とは?

メリットが多い家族信託ですが、一方でトラブルもあります。

最も多いのは、受託者である子が信託契約とは違う用途に貯金を使い込んでしまったケース。1人に管理を任せ切りにしてしまうと、本来の目的に沿った管理・運用がされないリスクも出てきます。

この対策としては、受託者を複数にして権限を分けたり、定期的に通帳チェックなどをする信託監督人(第三者)を付けたりします。

なお、家族信託を結んだ後に、その内容とは食い違う遺言書を親が書いたことでトラブルになったケースもありますが、この場合は家族信託の契約が優先されています。

今後、さらに家族信託の導入が増えてくると思われます。弊社でも司法書士を紹介できますので、ご希望でしたら一報ください。

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