親から相続した空き家を売却しようとしたところ、現状では売りに出せる状態ではなかった!というケースがあります。
親が住んでいた頃は、まったく問題にならなかったのに…。
どんな物件が売れないのか、今回の記事を参考にしていただき、対策が必要な場合は早めに手を打ちましょう。
また、記事の後半では、逆に「評価が高くなる物件」の条件にも触れたいと思います。
こんな空き家は売却できないor売却しにくい!
所有者の名義が祖父(母)のままだった
例えば、父親の所有物とばかり思っていた家が、相続を機に登記簿を見てみたら、何十年も前に他界している祖父の名義だったというケース。
本来なら祖父が亡くなった時点で、父親の名義に変更すべき(相続登記)でしたが、手続きされていませんでした。
この場合、祖父の代まで遡って相続人を整理する手続きが必要になります。
誰の所有なのか登記簿などで証明できない現状では、売却することはできません。
土地の境界が不明
古くからそこに建っている家ですと、たまにあるのが土地の境界が不明なケース。
測量図なども存在せず、境界標・境界杭が朽ちていたり無くなっていたりすると、土地の面積や権利の範囲が特定できません。イコール売却は難しいです。
その場合は、接している隣地所有者と立会いのもと、境界を確認・復元・確定させる必要があります。
立会いをやってみたら、お隣さんと境界の認識が食い違っていて揉めたり、樹木や塀の越境が発覚して費用負担が発生したりすることも…。
早めに土地家屋調査士さんに相談しましょう。
再建築不可の物件
「再建築不可」とは文字通り、現在の家を取り壊して更地にしても、新しい家を建てられないこと。理由は、その敷地が接している道路の幅が狭いからです。
建築基準法では、緊急時に消防車や救急車が入っていけないような狭い場所には、住宅を建ててはいけないルール。
<規定>
幅員4m以上ある(建築基準法上の)道路に、建物の敷地が2m以上接していなければならない。
この規定を「接道義務(せつどうぎむ)と言うのですが、これを満たしていない土地を購入する人は少数ですね。
ただし、建物自体がしっかりしていれば、賃貸用として、または一定期間の仮住まいとして購入したい人が現れるかもしれません。金額は安くなりますが。
※接道義務は、都市計画区域または準都市計画区域というエリアに限られます。詳しく知りたい方はググってみてください。
躯体の傷みが激しい
家を支える骨組みにあたる部分(基礎・柱・梁・小屋組など)の劣化が激しい場合も、売却は難しいです。建物のひどい傾き、あちこちに雨漏りによる腐食、床が落ちるシロアリ被害…など。
安心して居住できる状態にするために大規模な改修が必要になります。家を取り壊して新築した方が、総コストが安くなることもあり得ます。
参考までに、私が調査した、ある物件の写真をアップします。
↑基礎のヒビが数ミリ程度なら問題ありませんが、こちらの家は地盤沈下によって基礎が割れ、ズレています。もしこのまま大地震が起きたら…
↑シロアリが“美味しそうに”木を食べた跡です。ここだけでなく、柱や梁にも上がった可能性は十分あります。被害範囲をよく確認した上で、補修・防蟻処理をしなければいけません。
傷みが激しい家の場合は、自己負担で解体・更地にしてから売却したり、解体費分を差し引いた額で売却したりする方法があります。
古い擁壁の上または下にある家
擁壁(ようへき)とは、傾斜地などで土が崩れるのを防ぐための壁状構造物のこと。一般的なコンクリート擁壁の耐用年数は30~50年と言われています。
古い擁壁の上や下にある物件は崩壊のリスクがあるので、調査結果によっては、擁壁の解体・再工事をしないと家を建てられない場合も。その分、高額な費用がかかります。
擁壁のある物件は買い取り対象から外している業者もいます。
逆にプラス評価になる家はこちら!
一方で、空き家であってもプラス評価になる物件もあります。
例えば以下のような。
メンテナンスが行き届いている
定期的にメンテナンスされ、築年数ほどの劣化を感じない家です。一般的に、木造の家でしたら10~15年で屋根・外壁の塗装やコーキング打ち直しなどが必要で、こうした手入れを行ってきた家は長持ちします。
同じ築年数でも、ノーメンテナンスの家に比べれば、格段に売却価格はアップします。
土地の形状がいい
建物に多少問題があったとしても、整形地だったら目をつぶる人もいます。将来、建て替えることを考えても配置しやすく、敷地全体を有効利用できるからです。
整形地で、かつ南側に道路があると日当たり・通風もいいのでプラス評価。さらに、複数の道路に面している角地の整形地なら、より高く売却できるでしょう。
接している道路が広い
上記の「再建築不可」でも触れた通り、敷地に接している道路の幅が広いほどポイントは高くなります。
幅4mの道路だと駐車やすれ違いが大変かもしれませんが、幅6mの道路だったらすれ違いもスムーズで、向かいの家との距離も取れるメリットがありますね。
まとめ
いざ空き家を売ることになっても、法的な課題・権利的な課題・物件そのものの課題が立ちはだかり、手続きが進まないこともあるでしょう。
そんな場合でも決して諦めず、ベターな解決策を探ることが大切です。課題を解決できれば、希望以上の価格で売却できるかも…。
そのために私は日々活動しておりますので、悩みがある方は、下記の売却査定フォームからご連絡ください。
参考:売却査定フォーム
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