仲介業者の説明ミスによる不動産売却の税金トラブル事例から学ぶ!

5年に一度の宅建士資格の更新講習を受けてきました。

講習会で一番勉強になるのが「トラブル事例」。今回はそのうちの1つを取り上げます。

不動産売却の税金について仲介業者が誤った説明をしてしまい、損害賠償することになったお話です。

基本、資格のない者が税の個別相談を受けてアドバイスするのは税理士法に抵触するのですが、取引の現場では、税関連の質問を受けることが多いのも事実。

業者として適切な対応を心掛けるのはもちろん、売主さんにもご理解いただきたい事項もあります。

不動産売却に関する税金アドバイスが招いたトラブル

トラブル事例の概要はこうです。

居住中のマンションを売却し、新しいマンションへ買換えを検討していた依頼者。しかし、現住居は購入時よりも安い売却になってしまうし、新たに多額の住宅ローンを組むことに将来的な不安も抱いていました。

そんな中、仲介業者は「安い売却になってマイナスが出ても、給与所得のプラスとの損益を計算して、翌年から3年は所得税が還付される特例が受けられます」(=居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)と説明。

さらに「現住居の売却金を使って新しいマンションの住宅ローンを一括返済してしまえば、借入れ負担もなくなります」とアドバイスしました。

依頼者はアドバイス通り、売却・買換え・一括返済を完了。翌年、確定申告しようとしたところ、特例が適用されないことが判明しました。

特例の要件として「住宅ローンを有していること」が前提であり、借入金がない場合は対象にならないからでした。

どうすべきだった?事例から学ぶこと

裁判の結果、依頼者が還付を受けられなかった所得税分などについて仲介業者が賠償することになりました。

この事例から学ぶ、正しい対処法は2つです。

  • 仲介業者は曖昧な知識でアドバイスせず、税理士や税務署に確認した上で回答する
  • 依頼者本人に、税理士や税務署に直接確認してもらうよう促す

不動産税制は頻繁に改正されており、専門家である税理士でも不動産分野の知識に差があると聞きます。

個人的には、税務署に問い合わせるのが確実かと思います。

まとめ

実はマイホーム売却に関する税の特例だけでも5種類あります。しかも、名称が長くて難しくてわかりにくい…

  1. 3,000万円特別控除
  2. 10年超の長期譲渡所得の軽減税率
  3. 特定の居住用財産の買換え
  4. 居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除
  5. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除

併用できるもの・できないものがあったり、それぞれの適用要件も多岐に渡ります。

間違った解釈や見落としを避けるためにも、やはり税の個別相談は専門家にしましょう。

もちろん、仲介業者として特例の概要はしっかり勉強しておくことは必要です。私も誤ったアドバイスをすることがないよう、定期的に改正点や忘れている項目がないかチェックしていきたいと思います。

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