以前の記事で、古い空き家を賃貸借する際には注意点があることを紹介しました。
一方で「家賃をもらうと面倒そうだから、タダでいいので空き家を借りてほしい」と考える所有者さんもいると思います。
しかし、タダ貸しにも注意点はあります。
今回の記事でメリット・デメリットを確認しましょう。
無料で空き家を貸すメリット
無料で貸すことを「使用貸借(しようたいしゃく)」と言いますので、以後この言葉を使います。
空き家の使用貸借には、こんなメリットが所有者さんにあります。
- 解約したいときは、貸主の都合でいつでも契約を終了して家を返してもらえる。「自分で使いたくなったから出て行ってください」といった理由でもOK。家賃を受け取っていないので、借地借家法の適用なし
- 設備の修繕などは、借主が自己負担で行う。家賃をもらう賃貸借契約の場合、不具合があれば貸主の負担になるが、それがない
- 借主が設置した設備・造作を、貸主は買い取らなくていい。賃貸借契約の場合、借主がエアコンやウォシュレットを替えれば、それらを貸主が買い取るルールだが、それがない
「でも、年間の固定資産税は所有者が払わないといけないから、その分のお金くらいは頂けないかしら?」という方に朗報です。それくらいの金額でしたら、使用貸借の範囲で扱われることもあるそう。
念のため「敷地管理料」「家財保管料」といった別名目で契約し、固定資産税分を受け取ることをお勧めします。
使用貸借のデメリット
まず基本として、タダだからといって口約束だけで貸すのは良くないです。必ず契約書を交わしてくださいね。
使用貸借のデメリットは例えば…
- 「貸主からいつでも解約できる」という条件に難色を示す借主もいる。<対応策>=あらかじめ期間を話し合って決めておく
- 借主が好き放題に使った結果、リフォーム途中や破損した状態で返されるリスクも。<対応策>=あらかじめ原状回復の範囲を決めておき、曖昧にしておかない
- 契約終了を告げても借主に居座られた場合、法的な手続きを取ると出費が大きい。もし居座りが20年続いたら「もともと借主の家である」という時効が成立して返還されない可能性も…?<対応策>=ちゃんと契約書を交わし、居座った場合のペナルティを決めておく
まとめ
家賃をもらっても、タダ貸しでも、他人に家を貸す以上は所有者としての責任や注意すべき点があります。
将来のトラブルになりそうな芽は、契約の入口で摘んでおくことが得策です。
空き家を貸す契約手続きで不安なことがあったら、気軽に声をかけてくださいね。
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