売主さんあっての仲介業というのは言うまでもありません。売主さんおかげで不動産売買ができております。
ただ、中には「これはやってほしくないな」という行動を取る方も少数いらっしゃいます。今回はそんな事例をいくつか紹介します。
売主さんと業者はパートナーです。良好な関係で取引できたら幸いです。
後出しで金額を吊り上げる
売り出した物件の購入希望者が見つかり申込みになった途端、価格を吊り上げるのは違反です。「まだ契約してなければ交渉は自由でしょう」は通用しません。
おとり広告という不当表示になりますよ。
私が担当した案件で実際あった話。中古住宅のインスペクション(既存住宅状況調査)を行い、売主さんと協議して決めた価格で販売すると、間もなく購入者が見つかりました。
すると急に売主さんが「ちょっと安すぎる気がするから、30万円値上げをお願いしてほしい」と要求してきました。
説得して取り下げさせましたが、こういうことをすると信用を失って破談になるのでやめるべきです。
告知すべき事実を隠す
仲介業者は物件を販売する前に、色々な事項を売主さんからヒアリングします。その際、自分に不都合な事実を隠す人がたまにいるのです。大体は、ご近所さんから教えてもらったりして発覚します。
実際あった例では…
- 売却理由は「住み替え」と言いつつ、実は家族の一人が室内で自殺していた⇒売買契約締結の前日に破談
- 「隣人の迷惑行為」が売却理由だったが、それを隠していた。近所の住民や子供たちに『〇〇すぞ!』と暴言を浴びせたりして、警察もマークするほどの人物だった⇒仲介業者は媒介契約の解約を売主へ通告
もし重要な事実を知っていたのに隠して売却すると、買主さんに損害が生じた場合、訴えられる可能性が高いので要注意です。
不都合なことこそ、早めに仲介業者に伝えるようにしましょう。
プロの意見を全く聞かない
私たちは宅建取引のプロとして、経験則から価格や販売方法について助言・提案します。しかし、それを完全に無視する売主さんも存在します。
2つの事例を紹介しましょう。
事例①
他社の話。ある中古住宅を「5,000万円」と査定した営業担当に対し、売主の娘さんが出てきて「安すぎるんだけど、バカにしてんの?」と図面を投げつけてブチギレ。
別の複数業者に「6,300万円」で販売するよう強要するも売れず、扱う業者も1社減り2社減り…。すっかり“売れ残り感”が出てしまい、結局、相場よりも安い3,650万円でようやく成約に…。
がめついと損するという好例です。「売主はエライ」と勘違いしてはいけません。パワハラもアウトですよ。
事例②
30年ほぼノーメンテナンスで、リフォーム費用が高額になりそうな中古住宅の売却依頼あり。ここは慎重に一級建築士の意見も聞きながら、私は査定額2,800万円を提示しました。
当初は売主さんも納得し「住んでる私が言うのも何ですが、そんなに高く売れないのはわかってます」と謙虚でしたが…。
1週間後、売主さんから「3,200万円で販売してほしい」と強気な金額で再依頼あり。その理由は「他の仲介業者の査定額を参考にした」とのこと。
私は、売主さんの希望額での売却は難しいと判断し、途中で下りることにしました。おそらく、他社の査定額は「専任媒介」を取りたいがための作戦でしょう。
(この記事の投稿時点で)3社が広告を出していますが、販売から8カ月以上経っても、まだ売れていません。しかも値下げもしているのに…。
査定額=売れる価格とは限りません。意図的に高い査定額を出し、売主を“その気”にさせる業者もいるので要注意。中古住宅を売るなら、建物のプロの意見もちゃんと聞いた方がいいですよ。
まとめ
「わが家は価値が高いはず」
「新築時に〇〇〇〇万円もかけたんだから」
「少しでも高く売って手残りを多くしたい」
…そんな売主さんの気持ちもわかります。ですが、欲張りすぎたり、他人に負担を被せようとすると、結果的に良い取引にならないものです。
これから不動産の売却を考えているなら、参考していただけると嬉しいです。
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