隣の県に住む主婦の方から、10年前に相続した実家(空き家)を処分したいという相談を受けました。
室内を拝見させていただくと家財がそっくり残っていて、親御さんが生活していた当時から時間が止まっているような状態でした。
カメムシの死骸やネズミの糞も多い中…仏壇・位牌・遺影・神棚もそのままだったのです。
本来であれば早めに遺品整理を行い、仏壇類は遺族の手元に置いておくべきですが…
しかし、全国に820万戸の空き家があると言われる昨今、仏壇類が置かれたままの空き家も多いのでは?と推測します。
この依頼者の女性も「家財の整理はお金もかかるし、仏壇の処分方法もわからなかった。面倒だという思いもあって…」と正直な気持ちを語っていました。
そこで今回は、実家の空き家の仏壇・位牌などの処分方法について取り上げます。
①お寺に供養を依頼する
仏壇・位牌・遺影・仏具などを処分するに当たり、まずはお寺・お坊さんに依頼して法要(供養)を行うのが一般的。
供養せずに処分することは、故人の魂ごと処分することと同じ意味になってしまうからです。
もともと仏壇や位牌を設けるときに仏様の霊(魂)をそこに宿らせる「開眼法要」を行っているので、撤去・処分する前には霊(魂)を抜く必要があるのです。
- 「御霊(みたま)抜き」
- 「お魂(みたま)抜き」
- 「お性根(しょうね)抜き」
…といった俗称で呼んだりしますが、正式には「閉眼法要」と言います。
浄土真宗では教養の違いにより「閉眼法要」とは言わず、「遷座(せんざ)供養」「遷仏(せんぶつ)法要」と呼ぶそうです。
法要は菩提寺にお願いした方がいいですが、菩提寺が無ければ別のお寺でも引き受けてくれることがあります。
費用はいくらくらい?
お坊さんに読経してもらい供養を済ませた後で、仏壇や位牌を処分したり、お焚きあげをします。
自分で仏壇や仏具を捨てる場合はゴミ集積所に出さず、市町村が運営している焼却施設に直接持って行く方法がいいでしょう(要問い合わせ)。
なお、お坊さんに法要を依頼する場合の「お布施」の額は、地域差がありますが概ね35,000円~50,000円です。
法要をしてもらうためにお坊さんを空き家に招くので、あらかじめ室内や仏壇をキレイに掃除しておくのがマナー。
とはいえ、冒頭の依頼者のように空き家の片付けを長年行っていない場合ですと、お寺さんに引き受けてもらえないことも…。
②業者に依頼する
相続による空き家の増加に伴い、最近では遺品整理業者のサービスも幅広くなりました。
遺品整理に合わせ、仏壇や位牌などの供養から処分までを行ってくれる業者もいます。実家を売却するために室内をキレイに片付けたいという所有者には最適なサービスと言えます。
ネットで「◯◯市 仏壇処分」などと検索すれば、仏壇回収業者のサイトが幾つかヒットすると思います。
業者に依頼した場合の仏壇処分費用は、閉眼法要(遷座供養)を含めて35,000円~といったところ。家のあるエリアや、仏壇のサイズによって金額が変わってきます。
また、位牌や遺影などの供養・処分は、1点につき3,000円~がオプションとして加算されると思ってください。
見積もりは無料ですから、一度、業者に問い合わせてみてください。
まとめ
仏壇・位牌を置くスペースを確保できない現代の家庭の事情もあると思いますが、相続した空き家に仏様が長年放置されているのは寂しいものです。
最近では、コンパクトで今風のデザインにした仏壇も出ています。
既存の仏壇が大きすぎるサイズでしたら、相続人の自宅に合う小さめの仏壇に移し替えて安置する方法もいいと思います。
または、菩提寺に永代供養として預かってもらう方法もあります(仏壇を新調する際は、再度、開眼法要を行います)。
いずれにせよ、空き家に放置したままにせず、早めに対応するようにしましょう。
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