思い出のある実家の空き家を売却してしまうのは寂しいので、それなら人に貸して収入を得るのはどうだろう?と考える方もいるでしょう。
ただし、築年数が古く傷みのある空き家を貸すという場合には、特に注意すべき点があります。
「貸主」になることは、様々な責任を負うことになるので、軽く考えてはいけません。今回ご紹介するルールなどをよく確認してください。
古家を賃貸する前に押さえるべき5項目とは?
現行の賃貸借のシーンでは「借主保護」が強いというのが前提です。
家賃を受け取る「貸主」となるなら、以下のような規定や現状を知っておいて損はありません。
①不具合は直す義務がある
民法では、建物に不具合(雨漏りなど)があったり、設備に故障があったりした際は、貸主がその費用を負担して修繕しなければいけないとされています。
「借主の自由に改装してもらってOKなので、その代わり不具合の責任は負いません」と約束したとしても、万が一、建物に欠陥があって借主に損害が生じて訴えられでもしたら、貸主側が負けるでしょう。
②借主が設備の修理をしたら代金を払う
もう一つ、民法にはこんな規定が…。例えば借主がトイレの水漏れを修理したとか、増築をしたという場合には、貸主が代金を払わなければいけないのです。
③グレードアップした部分も買取り
「借地借家法(しゃくちしゃっかほう)」の規定には、借主が新しいウォシュレットに替えたり、食器棚を造作したり、性能のいいエアコンに付け替えたりしていた際は、契約終了時に貸主がそれらを買い取ることになっています。
④原状回復で揉めやすい
退去時の原状回復をめぐるトラブルは多いもの。もともと古い家だと要注意です。
よく勘違いされますが、原状回復とは「借りた当時の状態に戻すこと」ではありません。通常の住み方をして自然に劣化した部分については、借主の修繕負担は無く、貸主が直すべきです。
契約終了時の原状回復の範囲はどこまでか、初めによく打ち合わせしておかないとトラブルに発展します。
⑤宿泊施設の賃貸は厳しい
「古い家の味を生かした宿泊施設にすれば、結構な料金が取れるのでは?」と想像する人も多いのですが…
宿泊施設には、建築基準法のほか旅館業法の適用もあったりして規制が厳しいものです。許可を得るために多額のリフォーム費がかかるでしょうから、なかなか難しいと思われます。
不特定多数の人を泊めようとするのですから当然ですね。
契約内容を変えることもできる
上記を踏まえて、賃貸借の契約内容を「特約」によって変えることは可能です。
例えば「借主が設備をグレードアップさせても、貸主は買い取りません」という約束も有効。あるいは、老朽化の進行が怖いので「2年間だけ」と期限を決めた契約(定期建物賃貸借)も可能です。
その条件で借りる人が見つかれば、ですけど…
結論…古い空き家は長期間の賃貸には不向き
そんなわけで、古い空き家をそのまま賃貸するのは、個人的にはあまりお勧めしません。
固定資産税や火災保険などのランニングコストはかかりますし、さらに賃貸中の修繕費などが重なったら大変です。
そんなリスクも想定しながら十分に検討してください。
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