今日も一軒の物語が始まる。そこに空き家があるから。
登山家ジョージ・マロリーの名言を、勝手にもじってみました(笑)
でも、私にとっては本当にそんな感覚です。
誰も見向きもしなくなった家。
困り果てたオーナーさん。
「もうどうにもならない」と思われた空き家。
そんな話を聞くと、不思議と心が動いてしまいます。
今日も一軒の物語が始まります。
舞台は、千曲市磯部。
さて今回は、どんなレスキューになるのでしょうか…。
今回のレスキュー現場は千曲市磯部

今回ご相談いただいたのは、いつもお世話になっている行政書士さんからのご紹介でした。
「ちょっと相談に乗ってあげてほしい方がいるんです」
そんな話から、この物語は始まりました。
オーナーさんが相続されたご実家で、空き家になって約2年。
建物の概要はこちらです。
- 所在地:千曲市磯部
- 土地面積:178.51㎡
- 木造2階建
- 昭和44年築
- 増築部分あり
- 5DK
- 延べ床面積157.58㎡
- ガレージ付き
昔ながらの、しっかり使い込まれたお家です。
家族が集まり、笑い声が響いていた時代がきっとあったのでしょう。
でも今は、人が住まなくなり静かな時間だけが流れています。
「更地にしないと売れません」

オーナーさんは当然、まず売却を考えました。
ところが、不動産会社さんから返ってきた言葉は「更地にしないと売れませんね」。
そこで解体の見積りを取ると…約300万円。
…高い。
車なら新車が買えてしまう金額です。
「売るために300万円かかる」
そう考えると、一歩踏み出せなくなる気持ちはよく分かります。
さらに、千曲市の空き家バンクへの登録も検討しました。
ところが今度は「未登記家屋があるため登録できません」という結果に。
さらにさらに、室内には家財がそのまま残っています。
片づけにもお金がかかる。
解体にもお金がかかる。
建物登記にもお金がかかる。
バンク登録もできない。
まるで四方を岩に囲まれて「どこにも進めない!」という状態です(笑)
オーナーさんも、本当に頭を悩ませていました。
だったら発想を変えてみよう

私はオーナーさんとお話しする中で、こんな提案をしました。
この家を、人が住める賃貸住宅として低予算で再生するのはどうでしょうか?
しかも、ペットと暮らせる家に。
最近は「ペット可」の賃貸が少なく、探している方は意外と多いはず。
もちろん、新築のようにピカピカにはできません。
でも「古くてもいい」「家賃が安ければ助かる」「犬や猫と暮らしたい」…
そんな方に喜んでもらえる家なら、十分可能性があります。
空き家は、見方を変えるだけで価値が変わる。
私はそう思っています。
でも、この家もなかなかの強敵です(笑)

もちろん、そんな簡単な話ではありません。
今回の物件には、いくつもの課題があります。
まず一つ目。
家財が、とんでもない量
「ちょっと残っています」というレベルではありません。
部屋という部屋に家具や荷物がぎっしり。
しかも驚いたのが床下収納。
広い床下収納の中にも、農具類などがパンパンに詰まっています。
まるで床下にもう一つ倉庫があるような状態。
片づけ業者さんの見積りは約100万円!
思わず「家より荷物の方が主役じゃないですか(笑)」と言いたくなるほどでした。
トイレは汲み取り
二つ目の課題はトイレ。
現在も汲み取り式です。
もちろん前面道路には下水道があります。
でも接続工事をすると100万円以上。
この予算は、今回の再生計画ではかなり大きい。
そこで今回は、現状のままでスタートする予定です。
もちろん人によっては気になる部分ですが、家賃を抑えるという目的を考えれば、一つの選択肢でもあります。
全部を完璧にするより、「住める家」にすること。
今回はそこを目指します。
給湯器も故障中…
さらに給湯器。
こちらは冬の凍結で壊れてしまっていました。
これはさすがに直さなければ生活できません。
提携しているガス業者さんにも相談して、できるだけ費用を抑えられるようお願いしようと思っています。
こういう時、本当に地域の業者さんとのつながりはありがたいですね。
一人ではできないレスキューも、みんなで力を合わせれば前に進めます。
線路が至近
この家の目の前には…線路があります(笑)
電車が通るたびに「ガタンゴトン!」となかなかの存在感です。
普通ならマイナスポイントと言われるかもしれません。
でも私は考えました。
「逆に面白くない?」
線路側は庭になっています。
だったら、休日にBBQしながら電車を眺める。
子どもが手を振ったら運転士さんが汽笛を鳴らしてくれる……かどうかは分かりません(笑)
でも、鉄道好きの方や“撮り鉄”さんなら、この立地を楽しめるかもしれません。
欠点ばかり見るのではなく、魅力に変えられないか?
そんな視点も大切にしています。
まずは片づけから始めよう

今後の方針はとてもシンプルです。
まずは徹底的に片づけること。
そして掃除をすること。
オーナーさんはお仕事が忙しい方ですが、時間を見つけながら少しずつ進めてくださるそうです。
そして私も、休みの日には一緒に片づけをお手伝いしようと思っています。
不動産屋なのに荷物を運び、ホコリまみれになって掃除をする。
「そこまでやるの?」と思われるかもしれません。
でも、それで一軒の空き家がもう一度息を吹き返すなら、私は喜んで汗をかきます。
これぞ、空き家レスキューです!
次回、家財撤去スタート!

今回の現場は、決して条件の良い物件ではありません。
解体費300万円。
家財片づけ100万円。
未登記家屋。
汲み取りトイレ。
壊れた給湯器。
そして線路の目の前。
こうして並べると「これは厳しいなあ」と思われるかもしれません。
でも私(だけ?)は、不思議とワクワクしています。
空き家は「完成形」を見る仕事ではなく、「変わっていく過程」を楽しむ仕事だからです。
次回は、いよいよ家財との格闘です。
果たして、床下収納からは何が出てくるのか(笑)
ぜひ次回の「空き家レスキュー千曲市磯部編②」もお楽しみに!








