「訳あり食品」って流行りましたよね。形が悪かったり、キズ物だったり、賞味期限間近だったり。相場より安いため、人気があります。
では、諸問題を抱えている空き家=訳あり物件は、貸したり売ったりできるのでしょうか?
「はい、できます!」
私は自信を持って、そう答えます。
訳あり物件とはどんな家?
明確な定義はないのですが、以下のような家が「訳あり物件」と呼ばれます。
- 建築基準法に違反している
- 昔に建てられ、現行法には合致しない既存不適格
- ゴミ屋敷、害獣の棲みか
- 自殺や他殺があった
- 自然死でも発見が遅れた
- 周辺からの騒音や臭気がひどい
- 隣人がトラブルメーカー
- お墓が目の前、ゴミ処理施設が目の前、反社の事務所が近く
- 相続登記されず、所有者が複数に枝分かれしている
…など、他人に貸したり・売ったりする前に改善すべき、あるいは告知すべき内容が含まれる物件です。
訳ありの空き家を貸したり売ったりできる?
上記のような諸事情のある空き家物件でも、貸したり売ったりできるのでご安心ください。
最近は人々の趣味嗜好も多岐にわたり、かえって訳ありでユニークな物件の方が好まれる傾向もあります。
取引できる状態・条件にすることで「ぜひ使いたい」と言ってくれる人が必ず現れます。
物件のプラス面を見つけ、マイナス面をカバーする伝え方に工夫するといいでしょう。
訳あり物件の取引事例
ここで一つ、実際にあった取引事例を紹介します。実は私自身が、長野市の訳あり物件を購入したことがあります。
訳ありというか、“いわくつき”と言った方がいいでしょうか…。
- 旧・所有者の家族が敷地端の物置小屋で首つり
- 旧・所有者の別の家族が敷地隣で焼身自殺
- 母屋には仏壇・遺影・位牌ほか、家財がそっくりそのまま
「いったい何が起こったの!?」と驚きますが、初めて家の中に入ったときの背筋のゾクゾク感はハンパじゃなかったです。何せ、15年間も空き家でしたから…。
この家を相続した娘さんから「とにかく早く処分したい」と頼まれ、誰も引き取り手がいなかったため、私が購入することに。このまま放置を続けたら、娘さんもご近所さんも(空き家も)困るだろうと思ったからです。
約90万円かけて片付け・整備を行いました。幸い、敷地内に立派な鉄骨倉庫があったので、これをアピールポイントにして賃貸に出したところ、すぐ借り手がつきました。
その借り手というのが大工さんで、結局、母屋とセットで購入してくれることになりました。立地と広さがベストな物件だったそうで。リノベーションして居住する計画とのことです。
「首つりがあった小屋は壊せばいい。母屋じゃなくて敷地の端を選んで亡くなったところに“奥ゆかしさ”を感じる。大切に家を使わせてもらいます」と、大工さんは喜んでいました。
まとめ…大切なのはこの2つ!
訳ありの空き家であっても、やり方次第で借りたい人や買いたい人を見つけることができます。
その際、所有者として心がけるポイントが2つあります。
- 高い金額設定で「儲けたい」と欲張ってはいけない
- 諸問題を隠さずに告知する
訳ありなので、相場より安くなることは当然です。欲を出してはいけません。相手が「お得な物件だな」と感じる金額設定にするのが吉です。
そして、訳ありの理由を包み隠さず伝えることで信用を得て、それが逆に物件の特徴だと思ってもらえるようにしましょう。
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