前回は、お隣さんとの境界に立つ「ブロック塀」について書きました。
今回はその“地下バージョン”。
テーマは、給水管・排水管の越境問題です。
特に、家にぐるっと囲まれている物件や、昔ながらの住宅地ではよくある話。
見た目は何も問題なさそう。でも、地面の下で配管がこっそりお隣さんの土地を通っている…なんてことがあります。
購入前に確認しないと、後から冷や汗をかくことになります。
給排水管はどこからどうつながっている?

基本を押さえましょう。
水道の給水管は、前面道路の「本管」から宅内へ引き込まれるのが一般的です。
そして家の雑排水や汚水が、公共下水道管へと流されます。
確認方法は意外とシンプルです。
- 市役所の上下水道課へ行く
- 配管図面を取得する
- 現地でメーターボックスや桝の位置を見る
- 売主さんやお隣さんへヒアリング
図面を見ると、「あれ?」と気づくことがあります。
配管がまっすぐ道路に向かわず、お隣さんの土地を経由している可能性です。
これは、昔の建築事情では珍しくありません。
奥まった土地などでは、最善ルートが“隣地経由”だったというケースです。
越境していたら、どうする?

もし、購入予定の物件に給排水管の越境があったら。
まず確認すべきは、お隣さんとの間で何らかの書面があるかどうか。
覚書や合意書、承諾書などが存在するかを必ずチェックしましょう。
もし無ければ…
今すぐ配管を引き直すのは現実的ではない場合がほとんどです。
そのため実務では「将来、建て替えや改築などを行う際は、越境部分を解消しましょう」という内容の書面を取り交わすことが多いです。
例えるなら「今は通らせてもらうけど、将来できたらちゃんと自分の道を作りますね」という約束です。
これがあるだけで、安心感がまるで違います。
排水管には“法律の後ろ盾”がある
ここで覚えておきたいのが、下水道法の存在です。
この法律には「やむを得ない状況のときは、他人の土地を経由して公共下水へ流入させることもできる」という趣旨の規定があります。
つまり、一定の条件下では、お互いにそれを認めるべき、という考え方があるのです。
とはいえ、感情は別問題。
「他人の家の汚水が、自分の敷地の地下を流れている」
そう思えば、いい気はしませんよね。
法律と気持ち。
両方を理解して向き合うことが大切です。
実例:「すぐ撤去してほしい」と言われた話
長野県内のある中古住宅。
調査すると、下水管がお隣さんの土地を通っていました。
私は売却仲介のため、まずはご挨拶へ。
するとお隣さんから「親の代では承諾したようですが、私は即撤去してほしいです」と、はっきり言われました。
正直、そのお気持ちもよく分かります。
しかし、市役所で調査すると、当時の工事に関する「同意書」のコピーが保管されていました。
コピーをお隣さんに見てもらい、前述の下水道法の考え方も説明。
結果、「やむを得ない事情」としてご理解をいただきました。
トラブルは、事実確認と丁寧な説明で解けることが多いのです。
越境は今すぐ直せないこともある
越境は問題です。
でも、すぐに解消できないものもあります。
大切なのは、
- 書面で整理する
- 将来どうするか決めておく
- 老朽化した場合の費用負担を話し合う
これを曖昧にしないこと。
配管は地中にあるため、普段は忘れがちです。
でも、いざ詰まりや破損が起きたら、一気に現実になります。
そのとき揉めないための“今のひと手間”が重要ですね。
まとめ:見えないからこそ、先に見る
ブロック塀は目に見えます。
でも、給排水管は見えません。
だからこそ、
- 市役所で図面確認
- 現地チェック
- 売主・隣地へのヒアリング
- 書面の有無確認
- 将来の対応を整理
これを購入前にやっておきましょう。
家は地上だけでできているわけではありません。
地下にも“人間関係”が埋まっているということ。
見えない部分まで確認できたとき、あなたの不動産購入は、本当に安心なものになります。








